Woodland Tales

Dream on the grape hill

冬に舞う

柳葉魚  

作・毛利 仁史   絵・山口まさよし

ぴっとん ぴっとん
春の こえ
のきのつららが
とける おと

「おにいちゃん
  春がきたよー」

村にみじかい夏がおとずれました

「わぁ!おにいちゃん すごい!」

「おにぃちゃん、むこうぎしまで いくよ」
水のなか 二人は心と心でお話します
「なんて・・・ おまえは さかな みたいだな」

おおきな魚が ちいさな魚をのみこみました
そのときです
ざぶん!

はっぱが あか や きいろ に なりました
ある日 ひとりの 男が やってきました

「ちぇっ!」
もうけ話を 村長に ことわられた 男は はらいせに 川に・・・

ブクブク ザワザワ
恐ろしい声・・・
「だれだ〜〜っ」

村に 魚が いなくなりました
あつまった 村の人々は 
村の おきて を話しました

それは まるで ねむっているようでした

そして もう かえってくることは ありませんでした

何日か すぎた あと
朝日に かがやく なにかが
川を さかのぼってきます

村長は いいました
「これは 龍神さまの おめぐみだ」

それから なんども 季節は ながれて いきました

ざぶん
水の なかで いろんなことが ひたいを つきぬけていきます

「おにいちゃん!」
いつのまに よぞらに かぞえきれない 星が ひかっていました

なきたいときは ひとり
川に います
ことしも また春が めぐってきました

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